説明
礫川雪ノ且
《礫川雪ノ且(こいしかわ ゆきのあした)》は、葛飾北斎《富嶽三十六景》の中でも、静かな季節感が美しい一枚です。舞台は江戸の礫川(現在の東京都文京区・小石川周辺)で「雪ノ旦(ゆきのあした)」は雪が降った翌朝を意味します。現在の伝通院(でんづういん)あたりから、牛込方面を望む高台の風景を描いたものと言われています。
作品の見どころ
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「静」と「動」の対比 画面左側の茶屋の二階では、雪景色を眺めながらくつろぐ人々が描かれています(静)。一方で、その下や遠くでは、鳥の群れが飛び立ち、厳しい寒さの中でも生活が動いている様子が対照的に描かれています(動)。
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計算された幾何学的な構図 北斎らしい幾何学的なアプローチが光っています。手前の茶屋の四角い窓枠や手すりが「額縁」のような役割を果たし、その中に遠くの富士山を収めるという、非常にモダンなレイアウトを採用しています。
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圧倒的な「白」の表現 この絵の主役はなんといっても雪です。空を暗めの藍色で塗ることで、地面や屋根に降り積もった真っ白な雪を際立たせています。何も描かない「紙の白さ」をそのまま雪として見せる、浮世絵特有の引き算の美学が詰まっています。
富嶽三十六景について
葛飾北斎の《富嶽三十六景》は、江戸時代の浮世絵師・北斎が70歳を過ぎてから手がけた連作版画です。題名は「三十六景」ですが、評判の高まりによって10図が追加され、全部で46枚から成っています。中心となるのは富士山ですが、どの絵も単なる山の風景ではありません。波に翻弄される船や、畑で働く人々、街道を行き交う旅人など、当時の人々の暮らしが生き生きと描かれ、その背景に富士山が静かにそびえています。見る場所や季節、天候によってまったく違う表情を見せる富士の姿は、日本人の自然観や美意識を強く感じさせます。中でも《神奈川沖浪裏》は世界的にも有名で、北斎の大胆な構図と卓越した表現力を象徴する一枚です。
作者紹介
葛飾北斎(かつしか ほくさい)
Hokusai Katushika
生年:1760年、没年:1849年。専門分野:江戸時代後期の浮世絵師
葛飾北斎(1760–1849)は、江戸時代を代表する浮世絵師です。江戸・本所(現在の東京都墨田区)に生まれ、生涯にわたって絵を描き続けました。風景画、人物画、花鳥画、挿絵など幅広い分野で活躍し、常に新しい表現に挑戦したことで知られています。90年近い生涯の中で、日本美術の可能性を大きく広げた絵師です。
■おもな業績
代表作は《富嶽三十六景》で、富士山をさまざまな場所や季節、視点から描いた連作として世界的に高く評価されています。中でも《神奈川沖浪裏》は、今なお日本美術を象徴する作品です。また、絵手本である『北斎漫画』は、国内外の画家に大きな影響を与えました。これらの作品は、後にヨーロッパの印象派画家たちにも刺激を与えたといわれています。
■その他
北斎は生涯で30回以上も号(名前)を変えたことで有名です。70歳を過ぎてから「ようやく鳥や魚の形が分かってきた」と語ったとされ、晩年になっても向上心を失いませんでした。また生活は決して裕福ではなく、引っ越しを繰り返した破天荒な人物像も伝えられています。その情熱と探究心こそが、時代を超えて愛される作品を生み出した原動力でした。

第2回リリース予定(3月頃)
『春の情景/江戸紀行』より

北斎を季節で巡る|富嶽三十六景 連続リリース企画
本商品は、葛飾北斎《富嶽三十六景》をテーマ別・季節別に編集した連続リリース企画です。
各回ごとに完結したセットとして楽しめる一方、通年で揃えることで、北斎の視点と世界観をより深く味わえる構成となっています。
■ 第1回リリース(今回分|先行公開)
- セット A:富嶽三十六景【入門・王道】「三役」傑作選(3枚組)
- セット B:迎春:年の始まりを連想させる「清め・兆し・超える・始動」セット(4枚組)
【第1回リリース記念価格】
本セットは、シリーズ開始を記念し、期間・数量限定の特別価格でご提供します。
- 【入門・王道】「三役」傑作選《A4サイズ》
- 【入門・王道】「三役」傑作選《A3サイズ》
- 迎春:年の始まりを連想させる「清め・兆し・超える・始動」セット《A4サイズ》
- 迎春:年の始まりを連想させる「清め・兆し・超える・始動」セット《A3サイズ》
■ 今後のリリース予定
- 第2回(3〜4月):春の情景/江戸紀行
- 第3回(5〜6月):水の景色と清涼感
- 第4回(7〜8月):夏の活気とユーモア
- 第5回(9〜10月):秋風と情緒、裏富士の世界
※各セットは数量・期間限定での公開を予定しています。







